我が身や武具の扱いに長けた者は技士と呼ばれる。
剣技士、槍技士、闘技士…自らの肉体とその技巧でのみ戦う戦士。彼らはそれ故に他の要素に影響されない。
剣術士、槍術士、闘術士…魔術を起源とし、特に付与術士と似た傾向にある術を使う。ただ彼らは厳密に魔術士とは呼べず、あくまでその武の道すがら魔術の枝葉を拾い上げたに過ぎない。ただ魔術に絡まっている以上は魔素という根源の影響を受けずにいられない。
極地に至った技師は平凡な術士に勝る。
極地至った術師は無論、極地に至った技師にも勝る。
…はずだがそうではない。
極地に至った技師と、極地に至った術師が、潤沢な魔素で満たされた空間で相対した時、勝るのは技師である。
理由として、極地に至った技師は”理”を味方にする。
世界が理で成り立つ以上、その理の内にある魔素や魔術も天地をひっくり返すことはできない。
では対魔術師でも同様か、といえばその通りである。