魔術の道を究めた者は師、道半ばにある者は士。
魔術士には複数の職が存在する。
詠唱魔術士
いわゆる一般的に魔術士といえばこのジョブ。声による詠唱と、空に魔素で描く術式の「二重詠唱」により複雑で大規模な魔術を実行できるのが強み。前線での戦闘渦中に居れば邪魔でしかないが、大規模戦闘のように遠距離部隊など、安全が保障されている場所からの砲撃魔術や極大魔術を集団で練り上げるような組織的運用が主である。
魔術剣士
魔術士ジョブの中で唯一の近接職。求められるのは剣や盾、斧を振るうことができ、近接戦をこなせるほんのり魔術が使える戦士。彼らに高度な魔術を求めることは無く、近~中距離を程よく支える器用貧乏として存在する。ただこの器用貧乏が多くの冒険者パーティーには必要で、ギルドではどこでも万年魔術剣士不足を抱えている。剣士を謳ってはいるが、実際は戦士職である。
付与魔術士
術式を形として埋め込む「呪紋」を利用した付与魔術の使い手。呪紋自体は魔術士に限らず多くのジョブや生活の中でも取り入れられているもの。公共魔術士の割合が一番多いのも彼らである。武器防具にも多く呪紋は刻まれており、技術職の面が強い。通称MOD。
公共魔術士
生活に溶け込んだ魔術要素を国が維持管理するため、公的資格をもった魔術士たちに業務を行わせる。資格を有し、魔術庁に属するのが彼ら。戦争などで活躍するのは魔術庁所属の戦時派遣士たちやギルド所属の冒険者魔術士であり、彼らではない。
治癒術士
魔術によって他者を癒すことができる特別な魔術士。彼らは魔術庁でもギルドでもなく、中央教会と提携する治癒術士協会から派遣される高給取り。決して数は少なくないが、生死が関わる場では必須の存在であり、それ故に万年欠員状態。派遣単価も高額となる。ここでの収益の一部が教会運営費に回され、逆に中央教会からは思想教育の済んだ治癒術士の卵たちが選別され補充される。