危うく漏らすところだった。
齢三十と少し。
小学生以来のことである。
かつて”大”を漏らしたのは熱にうなされ、風邪に掛かってのことであったが今回は違う。
ただの腹痛である。
原因はおそらく昨晩の”辛い”サラダチキンであろう。
そもそも辛いものが苦手な自分であるが、昨晩のコンビニでは何も考えなかった。
そう、腹具合がどうなるのかを。
今朝のトイレにおいて、さほどの異常は感じていなかったように思う。
違和感が無かったのか、というとあったかもしれない。
少なくとも”快便”ではなかった。
朝、社用車に乗り込んだ段階でも若干の便意はあった気がするが、気にしなくてもいい程度、だったのだ。
それがまさか、冷や汗を垂れ流しながら「漏れそうだ」と、直接口にすることはなくとも通じる言葉――
「トイレに行きたい」
そう発してしまった。
その言葉を口にした段階で概ね諦めていた。
”漏らした”その後について考え始めてからのカミングアウト。
だが幸運なことにカミングアウト直後、便意が少しだけ治まった。
そして流れるようなコンビニ入店。
ありがとうございます。
日頃コンビニのトイレなど使う機会のない自分だが、今回は心からの感謝を。
毎日のように好きなタイミングでトイレに行けるという環境は、便意との戦いを僕に忘れさせていたのだ。
ありがとう、セブンイ●ブン。
弁当や飲み物の詐欺まがい減量は許さんけども。
そしてよくぞ頑張ってくれた、僕の肛門括約筋。
まだまだ現役だな。戦友。
最後に、――もう辛いものは喰わん。