ガンダムXをモデルにファンタジー妄想できないか。
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かつて戦争があった。
大陸を統べる「陸の民」と、大陸には大きく劣る大小の島からなる「島の民」。
魔術文明により栄華を誇った陸の民、時の王は勅命を配した。
「島の民への税を増やす」と。
時の王は暴君でも独裁者でも無かったと、後世でも結論付けられる傾向が強いほどに特筆することがない、良くも悪くも並の王だった彼だが、ただ一点愚行が過ぎた。
元々は島の民もまた、陸の民である。
かつて魔石鉱脈が見つかった際に、採掘人員として多くの陸の民が島々へと移住した。
魔石が潤沢だった時代はよかったが、いずれそれも終わりを告げる。
故郷となった島々に残り続けただ生活を続ける島の民たちに、歴代の陸の王たちは税を課し続けた。
先祖の故郷だから。
陸の王の治世あっての、島の安寧だから。
自分たちも魔術の、人類の繁栄に寄与できているのなら。
そうして150年近く。
王の一言で文字通り世界が一変した。
7度に渡る大きな戦争を繰り返し、疲弊しきった両軍は大陸南東沿岸で最終戦に臨んだ。
島の民側が軍の要とした空中要塞船での大陸進行に対し、陸の民側は陸上・海上要塞からの魔術迎撃を行った。
結果、島の民の空中要塞船は撃墜、爆散した。
何隻もある、本来星外への移民船とまで云われる古代遺産が、上空から動力を積んだまま落ちたのだった。
時の王都は直撃を免れたものの、国土の半分近くを文字通り失い、その後の環境汚染で結果的には9割が人が住めない土地となった。
かくして王国は滅び、島の民たちは安寧を得るかと思われた。
だが実際は落ちた空中要塞船には多くの島の民、民間人が乗っていた。
彼らは戦争に疲弊し、ただ遠くへ逃げ延びるために船に乗り雲の上を飛んだ。
一方は船が雲の上を飛べるとは知らなかったし、それが戦いを放棄したものとも知らなかった。
一方は雲の上まで攻撃が届くことを知らなかったし、文明の進歩を知らなかった。
島の革命軍指揮官は、逃げようとする島の民とそれによって引き起こされるであろう二次災害を予期して情報を流したとされるが、その指揮官も戦後行方不明となったため真実は定かではない。
戦後25年。
大陸ではかつての王国属領が独立し乱世へ。戦乱により魔術文明はさらに広がりをみせる。
島ではかつての王国領が大陸勢力との間にあることで独立安寧となるも、魔術文化は廃れ海中から引き上げる古代遺産に依存するようになる。
かつての王都に住む「あなた」の冒険がはじまる。
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陸の民
大戦中は大陸側の王国民を指す。現代では大陸に住まう者全般を指す。現代では国や自治領が乱立しているため〇〇国の民や△△領の民と呼ばれる。
島の民
現代においても大陸南東諸島に住まう住民たちを指す。現代では島々で領主を据えて別々の自治を行っている。
王国
かつて大陸南東部を広く治めた王政国家。300年ほどの治世は島の民との7度に渡る戦争の末終わりを迎えた。当時は属領という形で大陸中央にかけて大陸人口の半数以上を治世下に置いていた。
魔石
魔術を使う際には霧状エネルギーである魔力が必要となり、魔力は化石燃料であるところの魔石を昇華させた結果である。魔石は古代に存在した何らかの生物が液状化したのち長い年月をかけて固化したものだとされる。
魔力
霧状エネルギー。魔石の昇華によって発生する薄紫色を帯びた霧。独特の臭気と、継続的な吸引・曝露では人体に毒性・依存性を持つ。
魔術
魔力を魔導管に通し、魔術式をくぐらせることで化学反応として現象化させるまでの工程を指す。魔力に敏感でないとうまく魔導管や魔術式を通せないのでうまく発現しない。ただ魔力に敏感過ぎると中毒や依存症になりやすくもある。
魔術官
軍士官の一種として大陸では多く用いられる名称。一般的には魔術士とも。
杖
魔術を使用する際に多く使われる魔術道具。始めはただの銅管に直接式を彫り込んだ1本の長い筒だったという。式が複雑になるほど結果は大きくまたは強固となる。
古代遺跡
世界各所に点在する高度文明の名残。遺跡から発見される遺物「オプス」が島の民の現在の拠り所となっている。
オプス
古代遺物。指輪やイヤリングなど装飾品の形状をした特殊合金製。金属精錬技術の低い現代においては合金は魔術精錬が基本だが、このオプスの合金はどういった組成なのかも判明していない。
オプスを身に着けると五感が拡張され、第六感に目覚める者も出てくるとの噂もあって海底遺跡の発掘が盛んな現在の島の民の間では文化的支柱になりつつある。